学名 | Taraxacum officinale |
英名 | Dandelion |
別名 | ツヅミクサ、チチグサ |
和名 | 西洋タンポポ |
生薬名 | 蒲公英、ホコウエイ(根) |
科・属名 | キク科・タンポポ属 |
用部 | 根部、葉部 |
概要
日本でみられるタンポポには、明治期に野菜として栽培された帰化植物である西洋タンポポと、日本在来種の関東タンポポ、関西タンポポ、そして白い花を咲かせるシロバナタンポポなどがあります。
花や蕾(つぼみ)の付け根にある総苞と呼ばれる部分を観察すると、西洋タンポポは外側に巻き反り返っているのに対し、在来種では反り返りがないのが殆どです。
「チチグサ」はタンポポの葉や茎は切ると白い汁が出てくると共に催乳作用があることから、乳草とも呼ばれています。
西洋タンポポ(ダンディライオン)は繁殖力が強いため世界各地で野生または栽培されており、歴史的にも各地の伝統医学で自然薬(ナチュラルメディスン)として活用されています。
タンポポはヨーロッパや中東では薬用の他にも花や葉を食用としてきました。
ヨーロッパだけではなく、インドのアーユルベーダやアラビアのユナニ医学では肝臓や胆のうの不調、リウマチなどの体質改善に用いられており、北米のネイティブアメリカンのイロコイ族は腎臓病や水腫、皮膚病に用いられてきました。
日本でもダンディライオンの根は生薬として苦味健胃剤や利胆(胆汁酸の分泌促進)、緩下(おだやかな下痢)、催乳(母乳の分泌促進)の目的で用いられてきた歴史があります。
メディカルハーブとして、葉部を使用することもありますが、葉部はカリウムを豊富に含み(乾燥した葉の4%程度)そのため利尿を目的とした目的に使用されています。
最近の研究では、膵臓がんにも効果がある研究が進められています。
また、最近ではすい臓がんへの効果が期待されているようです。
含有成分 | 炭水化物(イヌリン)、フィトステロール(タラキサステロール)、苦味質(タラキサシン)、フェノール酸(カフェ酸)、コリン、ビタミン、ミネラル(カリウム、カルシウム)、フルセミド |
作用 | 強肝、利胆、緩下、胆汁酸排出促進、強壮、利尿、浄血、催乳、消化不良、疲労、乳腺炎、腫れ物 |
適応 | ダンディライオンは強力な利尿作用剤で、その作用は薬品のフルセミドに匹敵します。 腎臓病の機能を刺激する通常の薬品には人体にとって不可欠なカリウムを奪うという作用があり、心血管に疾患がある場合にはそれを悪化させてしまいますが、ダンディライオンは天然のカリウムの宝庫です。 ですから心臓疾患による水分の滞留など、利尿作用が必要な場合に、バランスのとれた安全な利尿剤として使用することが出来ます。 胆汁酸分泌促進作用がありますので肝臓や胆のうの炎症、うっ血に用いられます。 肝胆系の不調、便秘、消化不良、リウマチ、結石、むくみ、疲労、乳腺炎、腫れ物 |
禁忌 | 胆道閉鎖、胆のう炎、腸閉塞 |
副作用 | 胃酸過多による不快感の可能性(苦味質によるもの) |
相互作用 | クロルプロパミドなどの血糖降下薬の作用を増強させるとの報告がある。 |
安全性 | メディカルハーブ安全性ハンドブックでは、 使用部位:葉 クラス1 仕様部位:根 クラス2d・・・胆道閉塞、重篤な胆のう炎、腸閉塞に禁忌 |
補足 | 地上部カロチノイドやカリウムを豊富に含み、食欲増進や利尿の目的で用いる。 |
[ 文献 ]
1)ヒト膵臓癌細胞におけるタンポポ根エキスを用いた処理を介してアポトーシスとオートファジーの選択的誘導
原文タイトル:Selective Induction of Apoptosis and Autophagy Through Treatment With Dandelion Root Extract in Human Pancreatic Cancer Cells
原文 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22647733