生活習慣病の一次予防と課題

予防医学

予防医学では予防を下表の3つの段階に分類しています。
ここでは、特に問題になっている生活習慣病に絞って考えてみましょう。
生活習慣病に罹患しないためには、一次予防が大切であることを述べました。
一次予防の定義によれば、生活習慣の改善(生活環境改善、適切な食生活、運動・活動の励行、適正飲酒、禁煙、ストレス解消、介護予防など)とあります。
しかし、現代の生活環境では、以下のような事情が挙げられます。

  • 外食産業の発達による食生活の変化(ファーストフード、食の欧米化)による肥満への影響が懸念される
  • 輸入食材の増加に伴い、ポストハーベストによる農薬の身体への影響が懸念される
  • 高度な科学技術が発達してきたにも関わらず、健康維持のために開発されたサプリメントには、アレルギーを発症する成分(例:乳糖)などが含まれており、それらによる健康維持への疑問がある
  • 加工食品の多くは添加物が入っており、それらの人体への影響は厚生労働省が認める基準値内であれば問題はないとされているが、マーガリンやコーヒーフレッシュ(ミルク)にはトランス型脂肪酸が多く含まれいる。このトランス型脂肪酸は動脈硬化の原因と考えられており、加工食品の摂取による健康維持への影響が懸念される。
  • 化学処理工程を経て製造されたサプリメントは、どれを選んで良いか分からないほどの多さにより、個人の選び間違いによる健康への弊害が懸念される。
  • 二次予防に該当する薬剤(肥満、糖尿病、高血圧など)には副作用を伴う。
  • 二次予防に該当する薬剤は、現代医学の考え方に沿って開発されたものであり、対症療法である。これによる体内全体の代謝バランスへの影響が懸念される。
  • ライフワークの変化に伴う不規則な食生活(飲酒・高カロリー食材の摂取、偏食など)、職場でのストレス、仕事の忙しさによる運動不足、移動が車か電車等で運動出来ないなど。特に、規則正しい食生活、適度な運動ができる環境ではないのが実態である。
  • 市販薬は、病気が軽症の場合の初期治療薬として、自分の健康を管理し、軽症の病気やけがは自分で治療することの手段となる医薬品(OTC)とされている。殆どが化学合成された医薬品となる。
    医師の処方箋なしで買える一般用の薬として、2009年に全面施行された改正薬事法は、市販薬を副作用リスクの高い順に3段階に分け、リスクの低い第3類をのぞき、インターネットや電話による通信販売は禁止された。
    特にリスクが高いとされる第1類は、処方箋が必要な医療用から一般用に転換された薬で、厚労省によると、過去5年間に報告された副作用は1220件で死亡例も24件あるという。(2013-01-12 朝日新聞 朝刊 3総合)また、市販薬の咳止め薬を飲んで劇症肝炎、解熱鎮痛消炎剤を飲んだ後にぜんそくの発作を起こした事例もある。(2015年4月22日読売新聞)市販薬には、昔ながらの解熱剤・風邪薬があり、最近では肥満薬、メタボリックシンドローム二次予防薬としての市販薬も販売されている。
    自分の健康管理を目的とした市販薬が初期治療を目的に飲用後、死亡に至ることもあることから、市販薬といえども、副作用が無いとは言えず、必ずしも安心できるものではないと言える。

このような環境で、はたして一次予防が出来ることかと疑問を感じます。

(表)
一次予防 疾病の発生を未然に防ぐ行為。健康増進と特異的予防に分かれる。

健康増進には生活習慣の改善(生活環境改善、適切な食生活、運動・活動の励行、適正飲酒、禁煙、ストレス解消、介護予防など)、特異的予防には予防接種、事故防止、職業病対策、公害防止対策などがある。
二次予防 重症化すると治療が困難または大きなコストのかかる疾患を早期に発見・処置する行為。早期発見と早期治療に分かれる。早期発見には健康診断(スクリーニング)、人間ドック、早期治療には臨床的治療がこれにあたる。
三次予防 重症化した疾患から社会復帰するための行為。機能低下防止、治療、リハビリテーションがこれに含まれる。具体的には適切な治療、傷病進行阻止、理学療法、作業療法、機能回復訓練、言語聴覚療法、視能訓練、介護予防、職業訓練、適正配置などがあげられる。これは一般的な「予防」の認識とは一致しない概念である。

現実に、一次予防が出来ていない結果として、「二次健康日本21」の目標はいまだ達成していない事から、生活習慣病の罹患者が多く存在しているものと推定されます。

〜現代の生活環境では、一次予防の実践が課題である〜

これが今後の課題となるでしょう。